ガスター10、ファモチジンによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/11

ガスター10、ファモチジンとは

ガスター10、ファモチジン(Gaster10、Famotidine)とは、胃酸の分泌を強力に抑えるお薬です。

また、止血作用もあります。

因みに、ガスター10は製品名称で、ファモチジンは主成分の一般名称を指します。

このお薬の出現により、それまで手術で対応していた消化性潰瘍の大部分が、薬での治療が可能になりました。

主に消化性潰瘍の治療のために利用されていますが、逆流性食道炎や上部消化管(喉、胃、十二指腸等)の出血等にも利用されます。

主成分は、ファモチジンで、胃粘膜のヒスタミン2受容体をブロックすることにより、胃酸の分泌を抑制します。

適応症は、以下の通りです。

・胃潰瘍
・十二指腸潰瘍
・吻合部潰瘍
・上部消化管出血(消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)
・逆流性食道炎
・Zollinger-Ellison症候群
・腎機能低下
・次の疾患時の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
  ・急性胃炎
  ・慢性胃炎の急性増悪期
・腎機能低下

但し、心筋の受容体にも影響が及ぶ可能性があるため、心臓に疾患のある方は、医師とご相談ください。

ガスター10は、第一三共ヘルスケア株式会社により製造販売されています。

尚、ジェネリック医薬品としても、各社から同様の成分のお薬が製造販売されております。

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主な副作用

ガスター10、ファモチジンの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。

・便秘する
・白血球が減少する等

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
ショック 血圧低下に伴い失神する、意識消失する、チアノーゼがみられる、呼吸困難になる、胸内苦悶がある、冷感がある、嘔吐する、顔が赤くなる、痒みがある、蕁麻疹(じんましん)がでる、痺れる(しびれる)、動悸がする、息切れする等
アナフィラキシー様症状 紅斑がでる、悪寒がする、口腔咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面紅潮がみられる、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身発赤がみられる、顔面や喉頭に浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がする、発汗する等
再生不良性貧血 発熱する、悪寒がする、手足に赤い点(点状出血)ができる、赤紫のあざができる、のどの痛みがある、鼻血がでる、歯茎から出血する、貧血症状がみられる等
汎血球減少症 全身がだるい、階段等を上る際に息切れする、動悸がする、頭重がみられる、頭痛がする、眩暈(めまい)がする、鼻血がでる、耳鳴りがする、皮下出血がみられる、歯茎の出血がみられる等
無顆粒球症 発熱する、咽頭痛がある、倦怠感がある、口内炎ができる等
溶血性貧血 赤い尿がでる、皮膚や白目が黄色くなる、発熱する、貧血がみられる等
血小板減少 手足に赤い点(点状出血)ができる、あざができる、鼻血がでる、歯茎の出血がみられる等
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) 高熱がでる、陰部の痛みがある、関節の痛みがある、ひどい口内炎ができる、唇や口内のただれがみられる、発熱する、皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、中央にむくみをともなった赤い斑点ができる、赤い発疹ができる、まぶたや眼の充血がある、結膜がただれる、食欲不振になる、からだがだるい等
中毒性表皮壊死症(Lyell症候群もしくはToxic Epidermal Necrolysis:TEN) 皮膚が赤くなる、皮膚が焼けるように痛む、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、発熱する、口内が荒れる等
肝機能障害 倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がみられる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する等
黄疸 嘔気がする、嘔吐する、食欲不振になる、倦怠感がある、そう痒等がある、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度から39度の発熱がある、ブツブツ状の発疹ができる等
横紋筋融解症 手足肩を中心とした筋肉痛やこわばりがある、手足が痺れる(しびれる)、赤褐色の尿がでる、脱力感がある、CK(CPK)値が上昇する、血中及び尿中ミオグロビン値が上昇する等、急激な腎機能悪化を伴う
QT延長 脈が乱れる、立ち眩みがする、意識を失う等
意識障害 吐き気がする、食欲不振になる、腹痛になる、下痢する、強い倦怠感がある、意識レベルが低下する、意識消失する等
痙攣(けいれん) 興奮状態が継続する、怒りっぽい、ぼんやりする、よろめく、吐き気がする、眩暈(めまい)がする、下肢コントロール不能になる、筋肉の付随現象がみられる等
間質性腎炎 発熱する、間接が痛む、吐き気がする、下痢する、尿が濁る等
急性腎不全 尿量が減少する、尿が赤みがかる、眼がはれぼったい、疲れやすい、からだがだるい、腹痛がする、吐き気がする、下痢する、脱力感がある、関節が痛む、頭痛がする、顔や手足のむくみがみられる、息苦しい、意識が低下する等
間質性肺炎 発熱する、咳嗽(がいそう)がみられる、呼吸困難になる、胸部X線異常がみられる、好酸球が増多する、動悸がする、息切れする等
不全収縮 他のH2受容体拮抗剤により発生との報告あり。心停止する

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
過敏症 発疹ができる、皮疹ができる、蕁麻疹(紅斑)がでる、顔面浮腫ができる
血液 白血球が減少する、好酸球が増多する
消化器 便秘する、下痢する、軟便になる、口が渇く、悪心がある、嘔吐する、 腹部膨満感がある、食欲不振になる、口内炎ができる等
循環器 血圧が上昇する、 顔面が潮紅する、耳鳴がする、徐脈になる、頻脈になる、房室ブロックがみられる
肝臓 AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、Al-P値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する、LDH値が上昇する等、肝機能異常がみられる、黄疸がみられる
精神神経系 全身倦怠感がある、無気力感がある、頭痛がする、眠気がする、不眠になる、可逆性の錯乱状態がみられる、うつ状態になる、痙攣(けいれん)する、意識障害がみられる、眩暈(めまい)がする
内分泌系 月経不順になる、女性化乳房がみられる
その他 CK(CPK)値が上昇する、味覚異常になる

 

ガスター10、ファモチジンについて

ガスター10、ファモチジンは、古くから国内で利用されているお薬で、現在も世界中で利用されています。

上記にも記載しました通り、このお薬の出現で、消化性潰瘍の手術が激減しました。

手術をしなくて良くなったことは、当時、画期的なことでした。

かつて、同様の成分のお薬で、一時、副作用を疑った死亡例がマスコミを騒がせましたが、情報不足で因果関係が確認できないため、副作用と断定されていません。

そのため、いたずらに心配する必要はありませんが、心疾患等のある方は、念のため医師と相談してください。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・薬物過敏症の既往歴のある方
・腎障害のある方
・心疾患のある方
・肝障害のある方
・高齢の方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・小児

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、医師とご相談ください。

・アゾール系抗真菌薬
  ・イトラコナゾール

 

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