メルカゾールによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/12

メルカゾールとは

メルカゾール(MERCAZOLE)は、甲状腺ホルモンを抑制するためのお薬です。

通常、バセドウ病の様な甲状腺機能亢進症の治療に利用されます。

バセドウ病の症状としては、心臓がドキドキする、暑がりになる、汗をかく、イライラする、微熱が出る、食べても痩せる等の代謝の亢進があります。

この症状は、甲状腺ホルモンの分泌が多いために発現している症状です。

メルカゾールの主成分である、チアマゾール(Thiamazole)は、甲状腺ホルモンの合成を抑制する抗甲状腺薬です。

甲状腺ホルモンを合成する際に必要な、甲状腺のペルオキシダーゼという酵素を阻害することにより、これらの症状を緩和・改善させます。

適応症は、以下の通りです。

・甲状腺機能亢進症

メルカゾールは、中外製薬株式会社により、製造・販売されています。

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主な副作用

メルカゾールの代表的な副作用は、以下の通りです。

・発疹ができる
・蕁麻疹(じんましん)がでる
・皮膚が痒い

重大な副作用は稀ですが、白血球等の血液成分が急激に減少し、そのために身体の抵抗力が低下する場合があります。

この症状は、服用開始後、数週間から数か月の間に発現することが多いため、高熱がでたり喉が痛い等の症状があった場合には、速やかに医師と相談してください。

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
汎血球減少 全身がだるくなる、階段等を上る際に息切れする、動悸がする、頭重がある、頭痛がする、眩暈(めまい)がする、鼻血がでる、耳鳴りがする、皮下出血がある、歯茎から出血する等
再生不良性貧血 発熱する、悪寒がする、手足に赤い点(点状出血)ができる、赤紫のあざができる、のどが痛む、鼻血がでる、歯茎から出血する、貧血症状等がみられる
無顆粒球症 発熱する、咽頭痛がある、倦怠感がある、口内炎ができる等
白血球減少 風邪等の感染症にかかりやすい、風邪等が治りにくい
低プロトロンビン血症 出血が止まりにくい、血中プロトロンビンが低い、血液凝固時間が長くなる等
第VII因子欠乏症 無症状もある。出血傾向になる、皮膚粘膜出血がみられる(皮下出血、鼻出血、性器出血)、抜歯後出血がみられる、外傷後出血症状がみられる、関節出血がみられる、消化管出血がみられる、血尿になる、月経過多になる、分娩後異常出血がみられる等
血小板減少(血小板減少症) 手足に赤い点(点状出血)ができる、あざができる、鼻血がでる、歯茎から出血する等
血小板減少性紫斑病 皮膚や粘膜等の出血症状や紫斑(しはん)や青アザができる、歯ぐきから出血する、鼻血がでる、黒い便がでる、血尿がでる、月経過多になる等
肝機能障害 倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がでる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する等
黄疸 嘔気がある、嘔吐する、食欲不振になる、倦怠感がある、そう痒がある等、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度から39度の発熱がある、ブツブツ状の発疹がでる等
多発性関節炎 あちこちの関節が痛む、手指がこわばる、赤く腫れる、膝関節・手・足・股・肘関節等の痛みや腫れがみられる等
SLE様症状(全身性エリテマトーデス様症状、全身性紅斑性狼瘡様症状、ループス様症候群) 筋肉や関節が痛む、体や顔が赤くなる、赤い斑点ができる、発熱する、手足や首の付け根のリンパ節が腫れる等
インスリン自己免疫症候群 冷や汗がでる、むかつく、悪寒がある、強い空腹感がある、脱力感がある等
間質性肺炎 発熱する、咳嗽(がいそう)がある、呼吸困難になる、胸部X線異常がある、好酸球が増多する、動悸がする、息切れする等
抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎症候群 脱力する、疲労する、発熱する、食欲不振になる、関節痛がある、貧血になる、喀血する、呼吸困難になる、血尿がでる、蛋白尿がでる、関節腫脹がみられる、皮膚潰瘍になる、紫斑がみられる、各部位での血管炎がみられる(腎臓、肺、神経、皮膚、消化管、眼、心臓)、肺出血がある、消化管出血がある、脳出血がある等
横紋筋融解症 手足肩を中心とした筋肉痛・こわばりがある、手足が痺れる(しびれる)、赤褐色の尿がでる、脱力感がある、CK(CPK)値が上昇する、血中及び尿中ミオグロビン値が上昇する等、急激な腎機能悪化を伴う

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
肝臓 AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する等
皮膚 脱毛になる、色素沈着がみられる、そう痒感がある、紅斑ができる等
消化器 悪心がある、嘔吐する、下痢する、食欲不振になる等
精神神経系 頭痛がする、眩暈(めまい)がする、末梢神経異常になる等
過敏症 発疹がでる、蕁麻疹がでる、発熱する等
筋・骨格 こむらがえりをおこす、筋肉痛になる、関節痛がある
血液 好酸球が増多する
その他 CK(CPK)値が上昇する、けん怠感がある、リンパ節腫脹がみられる、唾液腺肥大がある、浮腫ができる、味覚異常になる(味覚減退を含む)
過量投与 甲状腺腫になる、甲状腺機能が低下する

 

メルカゾールについて

他に持病等のある方は、医師と相談してください。

妊婦や妊娠している可能性のある方、授乳中の方、及び、高齢の方も医師にご相談ください。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・肝障害のある方
・中等度以上の白血球の減少、又は、他の血液障害のある方

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり注意が必要なので、医師とご相談ください。

・クマリン系抗凝血剤(ワルファリンカリウム)
・ジギタリス製剤(ジゴキシン等)

 

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