テグレトールによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/12

テグレトールとは

テグレトール(Tegretol)とは、てんかん発作を予防するためのお薬です。

主成分のカルバマゼピン(Carbamazepine)は、脳神経の興奮を抑制し、興奮状態を緩和させる作用があります。

また、三叉神経痛を緩和させる作用もあります。

本剤は、古くから利用されている、精神・神経用のお薬です。

適応症は、以下の通りです。

・精神運動発作
・てんかん性格及びてんかんに伴う精神障害
・てんかんの痙攣発作:強直間代発作(全般痙攣発作、大発作)
・躁病
・躁うつ病の躁状態
・統合失調症の興奮状態
・三叉神経痛

本剤は、てんかんそのものを治療するお薬ではありません。あくまで予防するためのお薬です。

そのため、長期間に渡って飲み続ける必要があります。

テグレトールは、ノバルティス ファーマ株式会社により、製造販売されております。

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主な副作用

テグレトールの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。

・眠気がする
・眩暈(めまい)がする
・ふらつく
・倦怠感がある、易疲労感がある
・運動失調になる
・脱力感がある
・発疹ができる
・頭痛がする、頭重になる
・立ちくらみがする
・口が渇く
・γ-GTP値が上昇する
・AST(GOT)値が上昇する
・ALT(GPT)値が上昇する
・ALP値が上昇する
・白血球が減少する

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
再生不良性貧血 発熱する、悪寒がする、手足に赤い点(点状出血)ができる、赤紫のあざができる、のどが痛む、鼻血がでる、歯茎から出血する、貧血症状になる等
汎血球減少 全身がだるい、階段等を上る際に息切れする、動悸がする、頭重になる、頭痛がする、眩暈(めまい)がする、鼻血がでる、耳鳴りがする、皮下出血がおこる、歯茎の出血がある等
白血球減少 風邪等の感染症にかかりやすい、風邪等が治りにくい
無顆粒球症 発熱する、咽頭痛がある、倦怠感がある、口内炎ができる等
貧血 眩暈(めまい)がする、立ちくらみがする、動悸がする、息切れする、肩がこる、頭痛がする、食欲不振になる、倦怠感がある、肌が荒れる、抜け毛がある、爪が変形する、むくみがある等
溶血性貧血 赤い尿がでる、皮膚や白目が黄色くなる、発熱する、貧血になる等
赤芽球癆(せきがきゅうろう) 全身がだるい、頭重がある、頭痛がする、眩暈(めまい)がする、耳鳴りがする、階段や坂を上る際に動悸や息切れがする、貧血になる等
血小板減少 手足に赤い点(点状出血)ができる、あざができる、鼻血がでる、歯茎の出血がある等
中毒性表皮壊死融解症(Toxic EpidermalNecrolysis:TEN) からだがだるい、関節が痛む、皮膚が焼けるように痛む、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水疱)ができる、発熱する、食欲不振になり口内が荒れる等
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) 高熱がでる、陰部が痛む、関節が痛む、ひどい口内炎になる、唇や口内がただれる、発熱する、皮膚がまだら模様に赤くなる、皮膚に水脹れが出る(各種皮膚障害)、中央にむくみをともなった赤い斑点ができる、赤い発疹ができる、まぶたや眼が充血する、結膜がだれる、食欲不振になる、からだがだるい等
紅皮症(剥脱性皮膚炎) 39度から40度の高熱がでる、顔に発疹ができる、全身の皮膚が赤くなる、皮膚のカスがよく落ちる等
SLE様症状 筋肉や関節が痛む、体や顔が赤くなる、赤い斑点ができる、発熱する、手足や首の付け根のリンパ節が腫れる等
過敏症症候群 皮膚の広い範囲が赤くなる、高熱する(38℃以上)、喉(のど)が痛む、全身がだるい、食欲が出ない、リンパ節がはれる、肝障害がある、黄疸がでる、白血球が増加する、発疹ができる(斑状丘疹型ではじまり紅皮症に進展)、顔面の浮腫ができる、関節痛になる、好酸球が増多する、異型リンパ球が出現する、肝脾腫ができる、肝機能障害等の臓器障害を伴う遅発性の重篤な過敏症状がでる、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスが再活性化する等(発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃、遷延化する可能性がある)
肝機能障害 倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態になる、黄疸がでる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する等
黄疸 嘔気がある、嘔吐する、食欲不振になる、倦怠感がある、そう痒がある、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度から39度の発熱がある、ブツブツ状の発疹ができる等
急性腎不全 尿量が減少する、尿が赤みがかる、眼がはれぼったい、疲れやすくなる、からだがだるい、腹痛がする、吐き気がする、下痢する、脱力感がある、関節が痛む、頭痛がする、顔や手足がむくむ、息苦しい、意識が低下する等
PIE症候群 動悸がする、息切れする、発熱する、咳がでる等
間質性肺炎 発熱する、咳嗽(がいそう)がみられる、呼吸困難になる、胸部X線異常がみられる、好酸球が増多する、動悸がする、息切れする等
静脈血栓症(肺塞栓症等の血栓塞栓症) 痺れる、皮膚が変色する、血栓より遠位の浮腫ができる、皮膚が炎症をおこす、血栓性静脈炎になる、呼吸困難になる、胸痛がある、動悸がする、冷汗がでる、チアノーゼが現れる、静脈怒脹になる、血圧が低下する、慢性的な息切れがある、足首や脚がむくむ、脱力感がある、意識が消失する等(俗名エコノミークラス症候群、ロングフライト血栓症)
アナフィラキシー様症状 紅斑ができる、悪寒がする、口腔咽頭浮腫ができる、口内の違和感がある、かゆみがある、くしゃみする、顔面が紅潮する、熱感がある、吐き気がする、嘔吐する、尿意がある、便意がある、そう痒感がある、全身発赤する、顔面や喉頭に浮腫ができる、呼吸困難になる、血圧が低下する、喘鳴(ぜんめい)がきこえる、血管浮腫ができる、不快感がある、眩暈(めまい)がする、耳鳴がする、発汗する等
うっ血性心不全 心臓の収縮力が低下する、血液送出量が低下する、心臓や肺等の静脈がうっ血する、動悸がする、息切れする、就寝中に咳がでる、呼吸困難になる等
房室ブロック 軽度の場合は殆ど症状なし。重くなると息切れする、嘔気する、眩暈(めまい)がする、意識がなくなる等
洞機能不全(洞不全症候群:Sick sinus syndrome、SSS) めまいがする、立ちくらみがする、胸部の不快感がある、失神する、徐脈になる、心拍数が少なくなる、Adams‐Stokes発作(アダムス・ストークス発作)がでる、心不全になる、易疲労性がある等
徐脈 脈拍数が平均値より低い(1分間に60回以下)、動悸がする、脈が飛ぶ、数秒以上の心臓の停止がみられる等
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH) 食欲不振になる、嘔気がある、嘔吐する、全身けん怠感がある、むくみのない短期間の体重増加がみられる、頭痛になる、吐き気がする、低浸透圧血症になる、尿中ナトリウム排泄量が増加する、高張尿になる、意識障害がみられる、主に高齢の方に低ナトリウム血症が発現する、痙攣(けいれん)をおこす等
無菌性髄膜炎 発熱する、頭痛がする、嘔吐する、髄膜刺激症候(悪心がある、項部硬直がある、意識障害がある、膝関節を屈曲できるが、伸ばせなくなる)、大泉門の膨隆がある、痙攣(けいれん)する、不機嫌になる、無呼吸発作がある、哺乳力が低下する、易刺激性がある、筋緊張低下がある等
悪性症候群 無動緘黙(むどうかんもく:無言症。無動無言状態のこと)がみられる、強度の筋強剛(きんきょうごう:筋肉のこわばり)がある、嚥下困難になる、頻脈になる、血圧が変動する、発汗する等の症状が現れ、その後、発熱する場合がある。抗精神病剤と併用した際に現れることが多い

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
過敏症 血管炎になる、血管浮腫ができる、呼吸困難になる、猩紅熱様・麻疹様・中毒疹様の発疹ができる、そう痒症になる、光線過敏症になる、蕁麻疹(じんましん)がでる、潮紅
皮膚 色素沈着がみられる、ざ瘡がある、丘疹がある、多形結節性紅斑がみられる、紫斑がみられる、多毛になる
筋骨格系 筋脱力がみられる、筋痙攣がおこる、関節痛がある、筋痛がみられる
血液 ポルフィリン症になる、巨赤芽球性貧血になる、白血球が増多する、好酸球増多症になる、網状赤血球増加症になる、リンパ節が腫脹する
肝臓 ALT(GPT)値が上昇する、ALP値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、AST(GOT)値が上昇する
腎臓 乏尿になる、尿閉がみられる、血尿がでる、蛋白尿がでる、BUN値が上昇する、クレアチニン値が上昇する、頻尿になる
精神神経系 幻覚(視覚、聴覚)が見える、せん妄が見える、知覚異常になる、インポテンスになる、末梢神経炎になる、口顔面ジスキネジーになる、舞踏病アテトーゼになる、麻痺症状がみられる、攻撃的な行動になる、激越する、意識障害がある、フラツク、眠気がする、眩暈(めまい)がする、注意力や集中力や反射運動能力等が低下した、立ちくらみする、抑うつになる、頭痛がする、頭重がある、脱力する、けん怠感がある、興奮する、運動失調になる、不随意運動(振戦、アステリキシス等)がでる、言語障害がある、錯乱する等
異常眼球運動(眼球回転発作)がみられる、水晶体が混濁する、結膜炎になる、眼圧が上昇する、複視になる、霧視になる、調節障害がある、眼振になる
心血管系 不整脈がみられる、刺激伝導障害がみられる、血圧が低下する、血圧が上昇する
消化器 膵炎になる、口内炎ができる、舌炎になる、腹痛になる、食欲不振になる、悪心がある、嘔吐する、便秘する、下痢する、口が渇く
内分泌、代謝系 ビタミンD・カルシウム代謝が異常になる(血清カルシウムの低下等)、甲状腺機能検査値が異常(T4値の低下等)、血清葉酸値が低下する、女性化乳房になる、乳汁が漏出する、プロラクチンが上昇する、低ナトリウム血症になる、骨軟化症になる、骨粗鬆症になる、高血糖になる
その他 聴覚異常になる(耳鳴、聴覚過敏、聴力低下、音程の変化等)、脱毛がある、コレステロールが上昇する、トリグリセリド値が上昇する、CK(CPK)値が上昇する、体液が貯留される、免疫グロブリンが低下する(IgA、IgG等)、CRP値が上昇する、発熱する、味覚異常になる、浮腫ができる、発汗する、体重が増加する、感冒様症状(鼻咽頭炎、咳嗽等)がみられる
過量投与 中枢神経障害(振戦がある、興奮する、痙攣(けいれん)する、意識障害がある、昏睡になる、脳波が変化した等)、心血管系の障害(血圧変化、心電図変化等)がみられる

 

テグレトールについて

併用に注意が必要な薬剤が多いので、持病のある方は、必ず医師とご相談ください。

妊婦や妊娠している可能性のある方、及び授乳中の方も、医師とご相談ください。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・本剤の成分に過敏症の既往歴のある方
・三環系抗うつ剤に対し過敏症の既往歴のある方
・重篤な血液障害のある方
・第II度以上の房室ブロック、高度の徐脈(50拍/分未満)のある方
・ボリコナゾール、タダラフィル(アドシルカ)を投与中の方
・ポルフィリン症の方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・心不全、心筋梗塞等の心疾患又は第I度の房室ブロックのある方
・排尿困難又は眼圧亢進等のある方
・高齢の方
・肝障害のある方
・腎障害のある方
・薬物過敏症の方
・甲状腺機能低下症の方

以下の薬剤との併用は、基本的に禁忌です。ご利用されている方は、医師とご相談ください。

・ボリコナゾール(ブイフェンド)
・タダラフィル(アドシルカ)
・リルピビリン(エジュラント)

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり注意が必要なので、医師とご相談ください。

・MAO阻害剤
・炭酸リチウム
・メトクロプラミド
・アルコール
・中枢神経抑制剤(ハロペリドール、チオリダジン)
・利尿剤(ナトリウム喪失性)
・イソニアジド
・フルボキサミン
・ベラパミル
・ジルチアゼム
・シメチジン
・オメプラゾール
・ダナゾール
・ビカルタミド
・キヌプリスチン・ダルホプリスチン
・マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、クラリスロマイシン等)
・リトナビル
・ダルナビル
・アゾール系抗真菌剤(ミコナゾール、フルコナゾール等)
・シプロフロキサシン
・アセタゾラミド
・クエチアピン
・イトラコナゾール
・テラプレビル
・クロバザム
・パロキセチン
・フェノバルビタール
・リファンピシン
・フェニトイン
・バルプロ酸
・プリミドン
・エファビレンツ
・テオフィリン
・アミノフィリン
・抗不安・睡眠導入剤(アルプラゾラム、ミダゾラム)
・抗てんかん剤(ゾニサミド、クロナゼパム、エトスクシミド、トピラマート)
・トラマドール
・ブプレノルフィン
・ブチロフェノン系精神神経用剤(ハロペリドール等)
・三環系抗うつ剤(イミプラミン、アミトリプチリン、ノルトリプチリン等)
・トラゾドン
・ミアンセリン
・セルトラリン
・ミルタザピン
・精神神経用剤(オランザピン、アリピプラゾール、リスペリドン、ブロナンセリン、クロザピン、パリペリドン)
・ドネペジル
・フレカイニド
・エレトリプタン
・ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗剤(ニフェジピン、フェロジピン、ニルバジピン等)
・オンダンセトロン
・副腎皮質ホルモン剤(プレドニゾロン、デキサメタゾン等)
・黄体・卵胞ホルモン剤
・ソリフェナシン
・クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)
・免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス、エベロリムス)
・抗悪性腫瘍剤(イリノテカン、イマチニブ、ゲフィチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ラパチニブ、トレミフェン、タミバロテン、テムシロリムス、アキシチニブ)
・ドキシサイクリン
・HIVプロテアーゼ阻害剤(サキナビル、インジナビル、ネルフィナビル、ロピナビル等)
・マラビロク
・デラビルジン
・エトラビリン
・プラジカンテル
・エプレレノン
・シルデナフィル
・タダラフィル(シアリス)
・ジエノゲスト
・アプレピタント
・リバーロキサバン
・シンバスタチン
・ジゴキシン
・非脱分極性筋弛緩剤(パンクロニウム等)
・アルベンダゾール
・アセトアミノフェン
・ラモトリギン
・ダビガトランエテキシラート
・セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
・グレープフルーツジュース
・ミラベグロン
・シクロホスファミド
・カスポファンギン

 

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