カバサールによる副作用

公開日:  最終更新日:2017/08/12

カバサールとは

カバサール(CABASER)とは、パーキンソン病のお薬です。高プロラクチン血症や乳汁漏出症の治療にも利用されています。

主成分は、カベルゴリン(cabergoline)で、脳のドーパミン系の神経に作用することにより、パーキンソン病の手足の震え等の症状を改善し、プロラクチンの分泌を抑制します。

この成分は、麦角アルカロイド誘導体と言われ、様々な生理活性作用があります。

適応症は、以下の通りです。

・パーキンソン病
・乳汁漏出症
・高プロラクチン血性排卵障害
・高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)
・産褥性乳汁分泌抑制

効果の発現は、ゆるやかです。眠気や傾眠等の副作用は少ないとの報告があります。但し、吐き気の様な消火器系の副作用症状が、やや多いと言われています。

カバサールは、ファイザー株式会社により製造販売されています。

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主な副作用

カバサールの主な副作用を、症例の報告の多い順に記載すると、以下の通りです。

【パーキンソン病】

(消化器症状)
・嘔気がする
・食欲不振になる
・胃部不快感がある
・口が渇く
・嘔吐する
・便秘になる

(精神症状)
・幻覚がある
・妄想がある
・興奮する
・眠気がある

(神経症状)
・ふらつく
・眩暈(めまい)がする
・頭重感がある

(循環器系)
・起立性低血圧になる

(臨床検査成績の異常変動)
・血色素量が減少する
・ヘマトクリット値が減少する
・赤血球数が減少する
・白血球数が減少する
・CK(CPK)値が上昇する
・LDH値が上昇する
・ALT(GPT)値が上昇する
・AST(GOT)値が上昇する
・総コレステロール値が上昇する
・Al-P値が上昇する

【乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫】

(消化器症状)
・嘔気がする、悪心がある
・嘔吐する
・便秘になる

(精神・神経症状)
・頭痛がする
・眩暈(めまい)がする
・ふらつく

(臨床検査成績の異常変動)
・トリグリセライド値が上昇する

【産褥性乳汁分泌抑制】
・頭痛がする

(臨床検査成績の異常変動)
・ALT(GPT)値が上昇する
・AST(GOT)値が上昇する
・血小板数が増加する
・総コレステロール値が上昇する

重大・重篤な副作用

重大・重篤レベルの副作用としては、次の表の症状が想定されます。

重大・重篤レベル副作用リスト
副作用の名称 想定される症状等
幻覚 実在しないものが聴こえる(幻聴)、見える(幻視)、感じる(体感幻覚)等
妄想 現実では間違っていることを事実と思い込む等
失神
意識消失(意識喪失)
眩暈(めまい)がする、立ちくらみがする、顔面蒼白になる、動悸が高まる、胸の痛みがある、胸部不快感がある等
譫妄(せんもう) イライラする、疲れが取れない、不眠になる、強い倦怠感がある、下痢する、動悸がする等
錯乱 外部状況に対し適した対応が出来ない状態、話や動作にまとまりがない
悪性症候群 無動緘黙(むどうかんもく:無言症。無動無言状態のこと)になる、強度の筋強剛(きんきょうごう:筋肉のこわばり)がみられる、嚥下困難になる、頻脈になる、血圧の変動がある、発汗等の症状が現れ、その後、発熱する場合がある。抗精神病剤と併用した際に現れることが多い
間質性肺炎 発熱する、咳嗽(がいそう)がみられる、呼吸困難になる、胸部X線異常がある、好酸球が増多する、動悸がする、息切れする等
胸膜炎・胸膜線維症 呼吸困難になる、咳がでる、胸が痛む、疲れやすい、体重が減少する等
胸水 継続した胸の痛みがある、胸が苦しい、心臓がドキドキする、から咳がでる、呼吸困難になる等
肺線維症(肺胞炎) 息切れする、呼吸困難になる、空咳がでる、発熱する、倦怠感がある、食欲不振になる、疲れやすい、チアノーゼがみられる等
心膜炎 咳や呼吸で胸痛が増強する、呼吸困難になる、発熱する等
心嚢液貯留 胸部圧迫感がある、呼吸困難になる(特に吸気時)、不安感がある、起坐呼吸がみられる、ショックをおこす、意識障害がある、頻脈になる、胸の痛みがある、息切れする、動悸がする、発熱する、吐き気がする、嘔吐する、痙攣(けいれん)する、血圧が低下する、静脈圧上昇がみられる等
心臓弁膜症 動悸がする、息切れする、疲れやすい、眩暈(めまい)がする、発作的に咳や痰が出る、肝臓が腫れ右上腹部が苦しい、足のむくみがみられる、血痰がでる、脈拍が乱れる、息苦しい、心臓ぜんそくがみられる、心不全になる、不整脈がみられる、狭心痛がある等
後腹膜線維症 疲れやすい、体重が減少する、微熱がある、腹痛になる、腰痛になる、無尿になる、血尿がみられる、腰背部痛がある、下腹部痛がある、水腎症になる、腎機能が低下する、尿管の狭窄や閉塞がみられる、周辺部位の炎症がみられる等
突発的睡眠 前兆のない突発的睡眠がみられる(車の運転中でも発生する可能性がある)
肝機能障害 倦怠感が増大する、食欲が低下する、呼吸困難になる、吐き気がする、常に眠い状態、黄疸がみられる、AST(GOT)値が上昇する、ALT(GPT)値が上昇する、γ-GTP値が上昇する、総ビリルビン値が上昇する等
黄疸 嘔気がある、嘔吐する、食欲不振になる、倦怠感がある、そう痒がある等、皮膚や白目が黄色くなる、下痢する、全身の脱力感がある、38度から39度の発熱がある、ブツブツ状の発疹がでる等
狭心症 30分程度以内の胸の広い範囲の痛みがある、息が詰まる様な痛みがある、圧迫される様な痛みがある、運動したり坂道や階段を上ったり重い荷物を持つ等、運動量の増加に伴い胸が痛む等
肢端紅痛症 足や手の灼熱痛がある、皮膚温が上昇する、発赤がみられる、発作性の血管拡張がみられる等

 
上記の表にある様な症状が現れた場合には、速やかに医師、又は薬剤師へ報告し、対応を相談してください。

重大・重篤な症状を伴う副作用は、通常滅多にあるものではありません。しかし、服用を開始した際の初期症状には、注意が必要です。

その他の副作用

その他の副作用としては、以下の様な症状が報告・想定されています。

その他の副作用リスト
副作用の部位名称等 副作用の名称、症状
消化器 嘔気がある、悪心がある、食欲不振になる、胃部不快感がある、口が渇く、嘔吐する、便秘になる、下痢する、胃のもたれ感がある、口内炎になる、腹痛がある、胃痛がある、胸やけがする、胃炎になる、むかつきがある
精神神経系 ふらつきがみられる、傾眠になる、興奮する、不眠になる、不安になる、抑うつになる、徘徊等の精神症状がみられる、眩暈(めまい)がする、頭重感がある、頭痛がする、ジスキネジアがみられる、睡眠時ミオクローヌス等の神経症状がみられる、攻撃性がみられる、病的性欲亢進がみられる、病的賭博がみられる、眠気がする、イライラ感がある、うつ病になる、異常感覚がある、一過性半盲になる
循環器 指の血管攣縮がおこる、立ちくらみがする、動悸がする、血圧が低下する、浮腫ができる、ほてりがある
呼吸器 息苦しくなる
血液 赤血球数が減少する、血色素量が減少する、ヘマトクリット値が減少する、血小板数が減少する、血小板数が増加する、白血球数が減少する、白血球数が増加する
過敏症 発疹ができる、顔のほてりがある、そう痒がある、紅斑ができる、顔面浮腫ができる、蕁麻疹(じんましん)がでる
泌尿器 排尿障害がある、尿失禁する
その他 CK(CPK)値が上昇する、けん怠感がある、総コレステロール値が上昇する、筋肉痛がある、発汗する、脱毛する、下肢の痙攣(けいれん)がみられる、無力症になる、トリグリセライド値が上昇する、ざ瘡ができる、乳房痛がある、鼻血がでる
過量投与 悪心がある、嘔吐する、胃部不快感がある、幻覚がある、妄想する、頭重感がある、眩暈(めまい)がする、起立性低血圧になる

 

カバサールについて

パーキンソン病は、脳のドーパミン系の働きが悪くなるために手足の震えや筋肉の硬直、動作緩慢な症状が発現します。

本剤は、これらの症状を改善させる作用があります。

また、ドーパミンのD2受容体に作用し、プロラクチン(ホルモン)の分泌を抑制する作用がありますので、これにより、高プロラクチン血症や乳汁分泌、排卵障害等の症状を改善する働きがあります。

パーキンソン病の場合、非麦角製剤での治療が困難な方には、本剤が利用されます。

以下の方は、基本的に禁忌なので、本剤の利用はできません。

・麦角製剤に対し過敏症の既往歴のある方
・心エコー検査で心臓弁尖肥厚や心臓弁可動制限がみられた方
・上記に伴い狭窄等、心臓弁膜の病変がみられた方
・上記の既往歴のある方
・妊娠中毒症の方
・産褥期高血圧の方

以下の方は、このお薬を利用する際には注意が必要なので、医師とご相談ください。

・高度な肝機能障害や既往歴のある方
・胸膜炎、胸水、胸膜線維症、肺線維症の方、及び、その既往歴のある方
・心膜炎、心嚢液貯留、後腹膜線維症の方、及び、その既往歴のある方
・消化性潰瘍、消化管出血のある方、及び、その既往歴のある方
・レイノー病の方
・精神病の方、及び、その既往歴のある方
・低血圧症の方
・重篤な心血管障害のある方、及び、その既往歴のある方
・下垂体腫瘍がトルコ鞍外まで及び視力障害等が明確にある方
・妊婦の方
・妊娠している可能性のある方
・授乳婦の方
・高齢の方

突発性睡眠や傾眠等が発現する可能性があるため、車の運転や危険を伴う作業は控えてください。

女性の方が長期連用する際には、定期的な婦人科検査を受ける様にしてください。

以下の薬剤等と併用する際には相互作用があり、効果が増減したり、副作用を増強したりする可能性があるため、注意が必要なので、医師とご相談ください。

・血圧降下剤
・ドパミン拮抗剤
 ・フェノチアジン系薬剤(クロルプロマジン等)
 ・ブチロフェノン系薬剤(ハロペリドール等)
 ・メトクロプラミド等
・マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン)

 

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